歯科インプラントとは、虫歯や歯周病、外傷などで失われた歯を補う為に埋め込まれる人工の歯根です。インプラント治療は、まず歯がなくなった部分の顎の骨にインプラントを埋め込み、インプラントが顎の骨と結合するのを待ってからその上に被せ物を装着する治療法です。
歯は頭と根っこに分かれますが、歯の頭がダメになってしまった時は、被せ物や差し歯で治療を行い、噛めるようにすることができます。しかし歯の根っこがダメになってしまうと、入れ歯、ブリッジ、インプラントの3つの治療の中から、かめるように治療していかなくてはなりません。中でもインプラントはしっかり噛む事が出来ます。
インプラントは、自分の歯と同じように顎の骨に固定されている為、自然な噛み心地が得られ、見た目は自然な歯と変わらないといったメリットがあります。
インプラントは上部構造、アバットメント、フィクスチャ―の3つに分けられます。当院の上部構造の被せ物の素材は強度に特化した“ジルコニア”というセラミックです。
インプラントのメリットとデメリットは、ブリッジや部分入れ歯と比較してみるとわかりやすいかもしれません。
※差し歯のことをインプラントと思われている方もいらっしゃいますが、差し歯は歯の根っこががある前提の治療です。歯の根っこがダメになってしまった場合は、入れ歯、ブリッジ、インプラントの3つから治療を選ぶ必要があります。
入れ歯・ブリッジ・インプラントの比較 | ||||||
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治療 方法 |
入れ歯 |
ブリッジ |
インプラント |
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保険適応の有無 | 保険・自由診療あり | 保険・自由診療あり | 自由診療のみ | |||
●歯を削る量が少ない |
●取り外しの手間が要らない |
●周りの歯を削るなどの負担が少ない |
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●入れ歯を装着すると目立つ |
●健康な歯を大きく削る必要がある |
●自由診療のみ |
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回数 /期間 |
3~4回 / 1か月 | 3~4回 / 1か月 | 3~4回 / 2か月 | 保険内 約10,000円 |
保険内 1本約4000円×本数 |
1本約30万円 |
平均 使用年数 |
約4年 | 約8年 | 約20年 (10年生存率98%) |
埋め込んだ人工歯根は骨と結合して噛んだ時の支えになる為、患者さんご自身の歯のような機能性と美しさを取り戻すことができます。両隣の歯を削るブリッジ治療のように健康な歯を傷つける事がなく、部分入れ歯のように金具を使用しない為、異物感や違和感はほとんどありません。
保険内でブリッジや入れ歯による治療を選択した場合は銀歯や金具などが使用されます。
インプラントの場合は、煎餅などの硬いものや、ガムなどのくっつくものでもご自身の歯に近い噛み心地になります。
期検診と毎日の歯のお手入れ次第ですが、その状態が良ければインプラントはブリッジや入れ歯と比べて寿命が長いと言われています。
インプラントの残存率は 埋入部位および埋入条件により異なるが、システマティックレビュー等を参考にしたところでは部分および全部欠損症例における 10~15 年の累積生存率は上顎で約 90%程度、下顎で 94%程度である。また抜歯即時埋入や骨移植を伴った埋入では若干生存率が下がるものの 87~92%程度である。
※厚生労働省委託事業「歯科保健医療情報収集等事業」
歯科インプラント治療のためのQ&Aより >>
ブリッジと比較するとインプラントは両隣の健康な歯を削らない為、歯への負担が少ないです。入れ歯はバネをかけている歯への負担が強いです。
入れ歯、ブリッジともに抜けた歯の部分の骨が痩せていきますが、インプラントはメンテナンスをしっかりすればこのような事は極力おさえることができます。その後、定期的なメンテナンスを行う事で長期的に維持できます。
インプラント治療方法も日々発展しています。
海外では治療法に対する研究も進み、日本でも最新の治療を受ける事ができるようになっています。
インプラント治療には非常に特殊な条件を除いて、健康保険が適用されず全て自費扱いとなり、治療費用も歯科医院によって異なります。インプラント一本あたりの相場は30万円~50万円ぐらいとなっています。
最近では歯肉を切開しない治療法も
ブリッジや入れ歯と異なる点としては、外科手術が必要となる事です。
メスで歯肉を切開する手術もあれば、設備が十分で最新のガイドシステムと合わせた無切開無痛手術を採用している医院もあります。
設備や実績を確認して、信頼のおける歯科医師を選ぶ必要があります。
安全な治療方法はある?
神経や血管が多い部分の為、麻酔や手術の際に血管を傷つける事による出血、神経などの危険領域を傷つけ、最悪麻痺を引き起こすような危険性はあります。
このリスクを回避する為にガイデッドサージェリーやフラップレスサージェリーといった安全、安心な治療方法があります。
ガイデッドサージェリーとは、CT画像を元に構築した3次元画像上で埋入計画や補綴計画を行い、デジタル処理されたデータから、インプラントの埋入をガイドするシステムです。 コンピュータ-画面上でシミュレーションを行い、インプラント埋入時に使う樹脂製の手術用テンプレートをデザインし、3Dプリンターで作製します。
手術用テンプレートは、インプラント治療手術箇所に小さな穴が空いたマウスピースの事を指します。一般的には一つマウスピースを作るのに5万円程費用がかかります。患者さんの症例ごとに、個別に作製された手術用マウスピースを用いながら骨孔形成、インプラント埋入までを行います。 私たちの医院では、非常に有効な治療法なので、できるだけ皆さんに使っていただきたいという思いから、一本の埋入の場合、その費用の一部を負担し、3万円で治療を行うことができます。2本以上の埋入の場合は全額当院で負担いたします。
手術用マウスピースにはスリーブと呼ばれる筒状の構造があり、ドリルやインプラントをスリーブに通すだけで、シミュレーション通りの位置と深さにインプラントの埋入が可能です。フラップレスサージェリーはメスを使って歯肉を切らない術式です。歯肉に直径4mm程度の穴を開け、その穴からインプラントを埋入する事ができます。マウスピースとドリルは一対一でしか対応しない構造となっている為、ミスを防げる手術方法で、身体に傷をつけることも少なく、手術時間も麻酔待ちや説明等の時間帯を除けばインプラント1本埋入で10分程度となり、より身近に感じる治療となってきています。ガイデッドサージェリー、フラップレスサージェリーを利用することにより、神経や血管などの危険領域を侵すリスクを低減し、痛みも腫れも少なく高度な審美と機能性を兼ね備えたインプラント治療を行なうことができます。そして、歯科医の経験値に頼ることなく質の変らない治療を受けることができます。
インプラントと骨がしっかり結合するまでの期間が必要です。
最近では、インプラントと骨の接触率を飛躍的に高め、治療期間の短縮にもつながる「光機能化インプラント」技術を採用する医院が増えてきています。
治療は2ヶ月以上からで、CGF再生療法を行う場合は6ヶ月以上かかります。
インプラント治療の成功の有無は、チタン製のインプラントがいかに顎の骨にしっかり結合するかが大きなポイントとなります。
最近の研究ではインプラントは、未開封、未使用、使用期限内の状態でも、製造されてから3日で骨と接着する力が50%程度に低下していくという事がわかっています。これをチタンエイジングと呼びます。
この課題を解決する方法としては、UCLAの小川隆広教授によって開発された「光機能化インプラント」があります。
光機能化インプラントとは、適切な条件の光で処理することで、インプラントが骨と接着する能力や周囲に骨を形成する能力、いわゆる骨結合能力を飛躍的に高める技術です。
インプラントは製造された直後が一番結合能力が高く、時間の経過とともに弱まっていきます。
その為、光機能化をする事でインプラント製造直後のような結合力能力に戻ります。
この技術と装置により治療期間の短縮だけでなく、骨が痩せている状態でもインプラントを使用することができるようになりました。
18~20歳以降で骨の成長がとまっていれば基本的には年齢制限はありませんが、糖尿病、心臓病、高血圧、肝臓病、腎疾患、骨粗しょう症、癌治療中の方は適用出来ないケースがあります。
また、重度の歯周病などは骨の状態が悪くインプラントと骨が付きにくいと判断されることもあります。
インプラントをご希望の方で、お薬を飲まれている方は、必ずお薬手帳のご提示をお願い致します。
骨が痩せてしまい骨造成などの大きな処置が必要な場合などは、より傷口の治りを良くする為にCGF再生療法という方法があります。これは、患者様から採血させて頂いて、その血液から分離した成長因子という成分を処置した傷口にいれることによって治りを早めるといったものです。
厚生労働省のCGF再生療法の認可を受けている施設のみ治療を受ける事ができます。当院では厚生労働省から認可を受け、たくさんの患者様に受けていただいております。従来のやり方よりも、腫れや痛みの軽減を実感しております。
尚、これらの治療法を行っている医院は全国的に少ないと言われています。当院を取材していただいた群馬TVの担当者の方も、どうしてもこれらの治療法を取材したいということで、半年近くアプローチを続けていただき、当院の理事長が熱意に共感して取材を受けた経緯があります。
最新の治療法については大学病院で
採用していないケースも多い
今回大学のインプラント科に所属していたドクターに話を伺った所、「光機能化インプラント」、「ガイデッドサージェリー」、「フラップレスサージェリー」を大学においても採用していないケースは多いようです。
一番大きな理由としては、医科はほとんどの先端医療は大学発で行われますが、歯科医療の場合は、最先端医療が開業医で行われる場合も多い事が挙げられます。
常に最先端知識にアンテナを張っている医院は、国内外問わず最先端治療の講演を聞きに行くなどで最先端医療を学び、治療現場で採用しています。
最先端の治療が開発されたとき、症例数の多い開業医発で広まっていくということが、歯科という分野に関してはよくあるということです。
※もちろん、大学で最先端の治療がなされていることもたくさんあります。
インプラント治療の多くが開業医にて行われているため、今回はカリフォルニア大学の教授が発明した技術を、開業医が率先して導入し、広まっていったことが、大学でまだ導入されていない理由の一つかと思います。当院の理事長も、5年前に開発者の教授が来日した際の講演を聞き、いち早く導入を決めました。
診察やレントゲン、CT画像、口腔内模型などにより歯や歯茎、
骨の状態、噛み合わせを検査します。
手術の設計を一緒に画像を見ながら説明します。
ここで患者さんの理解が得られれば、手術に進みます。
インプラント埋入手術を行います。
マウスピースがガイドする事により埋入位置が決まっているため、
大きく歯肉を開く必要はありません。
埋入するための穴をあけるだけなので、
痛みや腫れが最小限に抑えられます。
※従来のやり方では、骨を目視し、ドリルで削ってから埋入するため、
歯肉を開かなくてはなりません。
観察期間は、手術の大きさや、骨、歯肉の状態によって決まりますが、
通常の場合は2か月程度です。
骨とインプラントがしっかり結合したのかは、音波を当てて測定します。
※歯茎を開いて行う従来のやり方や、大きな骨造成を行った場合では、
歯肉の形を整える手術が追加で必要になります(二次手術)。
インプラント体の上につくる最終的な人工歯を作製し装着します。
装着後に清掃状態の確認などを行い治療終了です。
インプラントは、虫歯にはなりませんが、
歯周病に似た感染症「インプラント歯周炎」になる恐れがあります。
治療後のメンテナンス(歯周治療)や日頃のブラッシングがとても重要です。
どのくらいの頻度でメンテナンスを行うかは、
患者様の口腔内の清掃状況で変わってきます。
インプラント費用の相場
費用は自由診療(保険適用外)の為、医院ごとに異なります。
1本あたり50万円のケースもあれば、30万円のケースもあります。
その他詳細は診療時にご相談ください。パンフレットもございます。
インプラント治療に
「光機能化インプラント」
「ガイデッドサージェリー」
「フラップレスサージェリー」
を採用し
骨が痩せてしまっている
患者さん向けに
厚生労働省の認可を受け
「CGF再生療法」
も採用しています。